レコードの音に癒し&ロマンと心地よいムダ遣い感じるsugi-sugu(スギスグ)です。
さて、レコードがひそかな流行を見せる今日この頃ですね。
今回はレコード再生の要であるカートリッジの徹底レビューを行います。
レビューするのは…
オーディオテクニカ『VM540ML』
現在の我が家のリファレンス機であり、レコード再生の中核を担ってくれているVM型(MM型)カートリッジです。
アナログカートリッジってなかなか視聴もできないし、音の傾向も分からない…という方も多いのでは?
この記事では、私が約5年間使用し続けているオーディオテクニカ『VM540ML』の基本性能だけでなく、実際に使用して感じた魅力や選ぶポイント、どんな場合におすすめなのかなどを分かりやすく解説します。
自分好みのレコード再生をしたい方はぜひ参考にしてみてくださいね!
オーディオに携わると色んな出会いがあります。
長く使用できるアイテムに出会えると買ってよかったなぁ…という気持ちになれますね!
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目次
カートリッジ交換についておさらい
ここではカートリッジ交換をすることの意味を再確認しておきます。
今更感がありますが、個人的にはオーディオアイテムを購入するときに基本に立ち返ることでムダ遣いをなるべく抑えるようにしています。
余計なお世話な部分なので読み飛ばしてもOKです。
カートリッジを交換する意味
カートリッジを交換する意味はレコード再生における音質の変更です。
レコードの音質を“自分好みの音に近付けたい場合”や“今とは違う音で楽しみたい場合”などにカートリッジを交換することは有効な方法といえます。
ここでのポイントは“音質の向上”ではなく“音質の変更”である点です。
色んな音を楽しむ!
前述の通り、 “音質の変更”がカートリッジ交換のポイントだとすれば、いくつかのカートリッジを所有することで、「音の違いを楽しむ」というオーディオの醍醐味を堪能できます。
そして、アナログ再生においてはカートリッジは最も顕著に「音の違いを楽しむ」ことができるアイテムとも言えます。
私は気分やレコードによってカートリッジを換えることがよくあります。
ただ、 “VM540ML”に出会ってからはけっこうオールマイティーなのであまり換えなくなっちゃいました。
オーディオテクニカ “VM540ML”を選んだ3つのポイント
ここからは私が“VM540ML”を選んだ時のポイントを紹介します。
キーワードは次の3つ
- 情報量やアタック感の向上
- 好きなジャンルとの相性
- コストパフォーマンス
皆さんがカートリッジを選ぶときの参考にしてみてください。
レコード再生の情報量やアタック感を増やしたかった
“VM540ML”を購入するまではビクター MD-1016&DT-33Hをメインにオルトフォン 2M Redと交換しながら使用していました。
ビクター MD-1016&DT-33Hは古いカートリッジで現在は製造されていませんが、中庸で温かみがある音がレコードの良さを引き立てくれます。(現在はヤフオクなどでけっこう手に入ります)
オルトフォン 2M Redは現在も人気の比較的安価な定番カートリッジの一つで、線がきめ細かで鮮やかな高音がとても綺麗なカートリッジです。
この二つに欠けていると感じていた、情報量やアタック感を持つカートリッジを選ぶことをひとつの基準にしました。
解像度が高く繊細で、広い音場が大好きだったAKG P8Eが壊れたのも購入のきっかけです。(古くてオークションにもあまり出てきません…)
システムや聴きたいジャンルとの相性を考慮した
私のシステムでは、かなり古いアナログプレーヤーを使っていて、その他の機器も音楽のネイロや雰囲気、空間表現などに重点を置いているので、どちらかといえば高い解像度の音を求めたものではありません。
しかし、好きな音楽ジャンルであるクラシックの広大な音場や繊細な表現、ロックやジャズのグルーヴやアタックを表現するにはバランスのよい情報量が一定数必要です。
そこで、カートリッジは、特定の音域に対して誇張が少なく、比較的情報量が多い現代的な解像度を持つものを導入してバランスを取ることを重視しました。
好みの音一辺倒に傾くとなぜかつまらない音になってしまうのもオーディオのオモシロイところですね。
予算を決めてなるべくコスパのよいものを選んだ
予算の上限は40,000円前後までとし、口コミやこれまでの経験から候補を選定。
➡ ○ 低音の量感やアタック感がマシマシな元気な音になりそう。
➡ ✕ 繊細さや雰囲気は低下しそう。
➡ ○ 現在所有の“2M Red”の良い部分にくわえて低域の情報量とパワーが加わる。有力候補。
➡ ✕ “2M Red”と系統は似ているので変わる楽しみが半減するかも…
➡ ○ “2M Blue”の良い部分をさらに強化。値段がBlueと同等ならこれにしていたかも。
➡ ✕ コスパも重視したいし予算オーバー
➡ ○ フラットな音質と質の高い情報量で解像度や定位が魅力。有力候補。
➡ ✕ オーディオテクニカは購入したことがなかったので好みに合うか不安。
➡ ○ “VM540ML”の上位機種で針は同じだけど本体の材質の違いにより深みが増しそう。有力候補。
➡ ✕ オーディオテクニカは購入したことがなかったので好みに合うか不安。
上記の5候補のうち有力候補オルトフォン“2M Blue” ・オーディオテクニカ“VM540ML” & “VM740ML”の3候補が残ったので、まずは「変わる楽しみ」に焦点を置いて“2M Blue”が脱落。
“VM540ML”と“VM740ML”を比較し、よりコスパのよさそうな“VM540ML”に決定しました。
【追記】
結局、オルトフォン 2M Blueも購入してしまいました。詳しいレビューはこちら
購入時のショップ店員さんとの共感ポイント
“VM540ML”は500シリーズの最高峰で“VM740ML”との差は本体の材質。
要となる針部分は両方とも全く同じもの。
音質的な効果と価格を考えるとコスパがよいのは“VM540ML”と、店員さんと同じ結論に至ったのも購入のポイントです。
オーディオテクニカ “VM540ML”の基本スペック
ここからは“VM540ML”の製品情報をご紹介します。
針先の曲率半径が不変の無垢マイクロリニア針を採用し、低歪みを実現。※メーカーHPより引用
製品特徴
※以下はメーカーHPを引用します。
●軽量化を図るアルミニウムテーパーパイプカンチレバー
●発電効率を高めるパラトロイダルコイル
●クロストークを改善するセンターシールドプレート
●高剛性樹脂ハウジング
基本スペック
※以下はメーカーHPを引用します。
(選ぶポイントやセッティングに大きく関係しそうな部分はオレンジで記載)
- 型式:VM型
- 再生周波数範囲:20~27,000Hz
- 出力電圧:4.0mV(1kHz、5cm/sec.)
- チャンネルセパレーション:28dB(1kHz)
- 出力バランス:1.0dB(1kHz)
- 針圧:1.8~2.2g(2.0g標準)
- コイルインピーダンス:2.7kΩ(1kHz)
- 直流抵抗:800Ω
- 負荷抵抗:47kΩ
- 負荷容量:100〜200pF
- コイルインダクタンス:460mH(1kHz)
- スタチックコンプライアンス:40×10-6cm/dyne
- ダイナミックコンプライアンス:10×10-6cm/dyne(100Hz)
- スタイラス:無垢マイクロリニア針(2.2×0.12mil)
- カンチレバー:アルミニウムテーパーパイプ
- 垂直トラッキング角:23°
- 外形寸法:H17.3×W17.0×D28.2mm
- 質量:6.4g
実物はこんな感じ
5年前に開封した感じを再現しました!
【パッケージ】
シンプルなデザインのパッケージです。
【開封】
ヘッドシェル付き?と思いきやしっかりとした台座で固定されています。
【本体】
斜め上から撮影:高剛性樹脂ハウジングに針部VMN40ML。取り扱いしやすい形状です。
【本体(横から)】
針は明瞭な広域と音像定位に定評のある無垢マイクロリニア針を採用。
【付属品】
右奥:カートリッジスタンド / 左中:シェルリード線 / 右中:ネジ・ナット・ワッシャー / 左下:ブラシ / 右下:非磁性体ドライバー / その他取説等
購入後すぐにセッティングできます。
【セッティング後の演奏風景】
オーディオテクニカ “VM540ML”の音質レビュー
ここからは“VM540ML”を導入後の私の実体験を基にした音質レビューです。
個人の感想なので、ここでは大まかな傾向を確認することでカートリッジ選びの参考にしてください。
お気に入りビクター MD-1016&DT-33Hとの相対レビュー
導入前のメインカートリッジはビクターの“MD-1016&DT-33H”という機種で“VM540ML”とは全く異なる雰囲気の音でした。
これはこれで個人的に大好きな音です。
ということでビクターのMD-1016&DT-33Hと相対的に比較してみます。
ビクター “MD-1016&DT-33H” |
オーディオテクニカ “VM540ML” |
|
高音 | ||
中音 | ||
低音 | ||
解像度 | ||
空間表現 | ||
アタック | ||
定位感 | ||
温かみ |
比較をまとめると、解像度、アタック感、定位感は“VM540ML”が上手。
アナログ的な温かみは“MD-1016&DT-33H”に分がありそうです。
導入直後のレビュー
導入直後の率直な感想は大きな音質の変化にビックリ!!
これまで聞こえなかった音が聞こえるのは飛躍的な情報量の向上によるところでしょう。
陰影はより深くなり解像度も向上、空間の広さにあまり差はありませんが、場所が変わったかのように全体の雰囲気が変わります。
あえて誇張して言えば、木造と石造りのホールでは響きや雰囲気が違うようなイメージです。
大好きなアナログ的な温かみを崩すのではと心配していましたが若干の減退はあったものの、けっして無機質になるわけではなく、最近のバランス感の上手いデジアンのように新しいものと古いものが上手に調和している感覚が好印象でした。
5年間の使用してみてわかるおすすめポイント
長く愛用しているとよいところがたくさん見えてきます。
おすすめのポイントは次の通り。
- レコードのありのままの音楽を再生
- ジャンルを選ばないフラットな音質
- 長時間でも聴き疲れしない音色
つまり、 “VM540ML”は「いつものカートリッジ」として優秀な性能を発揮してくれるオーディオアイテムといえます。
[ジャンル別レビュー]
※個人的ないいね!レビューです。
●クラシック :
●ロック :
●ジャズ :
●EDM :
●J-pop :
ただし、高音や低音など一定の音域に強く振りたい場合や暖色系の温かみを最重視した音が欲しい場合など特徴的な音質を目指したい時のであれば他の選択肢がよいかもです。
超お得なヘッドシェル付き
あと、販売価格について記事を書いていて気付いたことがあります。
ナント!!
単品の“VM540ML”よりも、ヘッドシェル付きの“VM540ML/H”の方が安い⁉
現在AmazonやYahoo!などでは最安値「単品:31,130円」に対し「ヘッドシェル付き:29,500円(楽天:30,690円)」となっています。
使える付属品があって安い方が良いので、現在はヘッドシェル付きの“VM540ML/H”が絶対お得!
私が購入した頃は当然のように単品の方が数千円は安かったので、ヘッドシェルを持っている私はコスパ重視でヘッドシェル付きではない方を選びましたが…、まさか価格が逆転するとは…。うらやましいですね。
相性のいい必須アイテム
カートリッジの必須アイテムとしてヘッドシェルとリード線があります。
どちらも現在使用しているものや、ヘッドシェル付きの“VM540ML/H”を購入すれば新たに購入する必要もありませんが、ここでは安くてVM540MLと相性の良いヘッドシェルとリード線を実体験をもとに紹介します。
音質向上のために購入してもOKなアイテムです。
ヘッドシェル
ヘッドシェルはカートリッジをセットする台座として必須のアイテム。
“VM540ML/H”付属のヘッドシェルやレコードプレーヤーに付属のものでも問題ありませんが、音質に比較的影響の大きなアイテムでもあります。
木材から金属まで色んな素材のものから好みのヘッドシェルを探すのも楽しみ方のひとつです。
一般的に木材は落ち着いた音になる傾向、金属はメリハリのある音になる傾向があるといえます。
比重の高い木材で曖昧にならない温かみのある音が魅力。
マグネシウム合金でクセがなく使いやすいヘッドシェルです。
リード線
カートリッジとヘッドシェルを繋げるリード線。こちらも必須アイテムです。
カートリッジの付属品でも問題はありませんが、リード線も音に与える影響は小さくなく交換を楽しめるアイテムです。
我が家ではオーディオテクニカの超ハイコスパモデル“AT6101”を使用していますが生産終了していますので、ここではその他にクセが少なくコスパのよいものと音に特徴があるものを紹介します。
精密導体”102SSC”を採用し原音再生を高次元で実現しています。
銀メッキで繊細な音質表現が美しいアイテム。
音という贈り物
今回紹介したカートリッジ、オーディオテクニカ『VM540ML』は高い情報量や定位感、空間表現など音楽を再生するアイテムとして抜群の性能を有しています。
そしてもうひとつ重要なことは、無機質ではないということです。
情報量を上げることで犠牲にしがちな人間味みたいなものは高性能なスペックだけではカバーできない部分も大きいように思います。
『VM540ML』は進化し続ける技術による高い基本性能のにくわえ、アナログレコードの良さを優しく引き出してくれる真心のようなものを感じさせてくれます。
そして創業60周年を迎えるオーディオテクニカの新たなブランドメッセージ『もっと、アナログになっていく。』にもよく表れていることを感じます。
バランスの取れたアナログカートリッジ『VM540ML』でオーディオテクニカの想いを堪能してみてはいかがでしょうか?
『VM540ML』が届けてくれる『音という贈り物』が皆さんのもとにも届きますように。
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