みなさんこんばんは。
結局、ほしいカートリッジは買ってしまうオーディオライターのsugi-sugu(スギスグ)です。
今回は大人気のロングセラーカートリッジ「ortofon (オルトフォン)2M Blue」の、実際に使用してみて分かるポイントを詳しくレビューしていきます。
この記事でチェックできるポイントは…
新しいカートリッジの購入を検討している人、ortofon 2M Blueの特徴を知りたい人、2M Redからの買い替えを検討している人におすすめの内容となっています。
以前、オーディオテクニカ VM540MLのレビュー記事で、購入を迷ったモデルとして2M Blueをご紹介していましたが…、結局買っちゃいました。
オーディオを楽しんでいると、こういうことはよくありますよね。
※互換性のある2M Redを持っていたので、2M Blue Stylus(交換針)を購入しています。
ortofon 2M Blueはこんな人におすすめ
- 広い空間表現や開放的な音が好きな人
- 高音質なMMカートリッジを探している人
- 2M Redからのグレードアップを考えている人
- スタイリッシュなデザインが好きな人
目次
ortofon 2M Blueとは?
ortofon 「2M Blue」は、ortofon(オルトフォン社)の人気カートリッジ「2M」シリーズのミドルクラスに位置するMMカートリッジです。
ちなみに、オルトフォン社は1918年にデンマークで創業、初期の映画音声技術(サウンドフィルム)から始まり、現在では世界のレコード再生を牽引する企業となっています。(医療分野でも活躍しているらしいです)
さて、そんなオルトフォンの中でも初心者から上級者まで幅広い層から人気の「2M Blue」は、ミドルクラスでありながら価格帯を超えたダイナミックで抜けの良い音質、音場の広さなどにも定評があるロングセラーモデル。
口コミやレビューでの評価も高く、欧米のオーデイオ誌でも絶賛されているアナログカートリッジです。
ortofon 2M Blue 基本スペック
2M Blueのスペックを、オルトフォンのホームページやユーザーガイドから表にまとめています。
ortofon 2M Blue スペック表 | |
出力電圧 | 5.5mV |
周波数帯域 | 20Hz-25,000Hz |
ダイアモンド針 | Nude Elliptical(楕円無垢) |
針先径 | 18×8μm |
カンチレバー素材 | アルミニウム |
針圧範囲 | 1.6g~2.0g |
適正針圧 | 1.8g |
自重 | 7.2g |
※我が家では針圧は1.75gで楽しんでいます。
ortofon 2M Blueの特徴
2M Blueの特徴として、まず目を引くのが個性的なデザインでしょう。
2Mシリーズはデンマークのデザイナー“Moeller Jensen氏”によるもので、時代が変わっても色あせず斬新でスタイリッシュなデザインがユーザーに人気です。
2M Blueはスタイラスチップ(針先)に“楕円無垢ダイアモンド”が採用されており、クリアでフラット、広い音場やレンジ感のある音を実現しています。
もう一つの大きな特徴として、2M Redとの互換性がありスタイラス(交換針)の取り換えが可能なこと。
2M Blueまたは2M Redのどちらかを持っていれば両方の音をコスパよく楽しむことができるのはとってもうれしいポイントです!
ちなみに私は2M Redを最初に購入して2M Blueのスタイラス(交換針)に交換して楽しんでいます。
ortofon 2M Blue 実使用レビュー
ortofon 2M Blueを自宅でじっくりと聴いてみたのでレビューします。
2M Blueの音質、音色をひとことでまとめると「解像度の高い音質」と「開放的で豊かな音色」です。
ここからは音質と音色に分けて詳しく解説していきます。
おすすめのジャンルも合わせてご参考ください!
2M Blue 音質
2M Blueは解像度が高く、きめ細かいので表情豊かな音質です。
レコードに針を落としてみると、高音から低音までほぼフラットなバランスで再生されていることが分かります。
そして、わずかに前面に主張する中音域によって、ヴォーカルやオーケストラなどの豊かな響きが最適化され、自然な音像イメージが楽曲の魅力をうまく引き出しているのが印象的でした。
定位もミュージシャンや楽器の配置が明確で、左右、上下そして奥行までが自然に定まります。
また、スピーカーの間に広く展開する音場は、良質な録音であれば部屋中に広がる臨場感を体感することができます。
全体的にバランスの取れた高音質に、2M Blueの“色”が上手く重なることで他にはないコスパの高いMMカートリッジに仕上がっている印象です。
ortofon 2M Blue 音質評価 | |
高域 | |
中域 | |
低域 | |
解像度 | |
音像定位 | |
音場表現 | |
音の特色 | |
コスパ |
2M Blue 音色
2M Blueの音色は明るく開放的。
高域はクリアで澄んだ音がはるか遠くまで伸びていくさまを楽しむことができます。
中域は温かみがあり豊かな表情をのぞかせてくれます。
低音は力強くタイトでありながら、欲張り過ぎない量感です。
各音域を通して温かみをおびた生き生きとした音色が、再生する楽曲の魅力を引き出します。
また、広い音場とダイナミックレンジが包容力のある響きを醸し出し、アナログ盤に刻まれた音楽の瑞々しさや華やかさ強靭さを自由に再現してくれる印象です。
音質の良さは違いありませんが、個人的に音色に深い楽しみがあるカートリッジだと思います。
空間表現や温度感に注目すると、とっても楽しい!
おすすめのジャンル
オールマイティなカートリッジなので、何を聴いても違和感はありません。
その中でも特に良いと感じたのは、クラシック、ジャズその他アコースティックな演奏でした。
ortofon 2M Blue ジャンル別 おすすめ度 | |
クラシック | 広い音場とダイナミックレンジでピアノソナタからオーケストラまで相性抜群。 |
ジャズ | 定位感や空間表現が上手くライブ感が際立つ。ヴォーカルの艶やかさが最高。 |
ロック | 問題なく鳴らしてくれる。リズムに乗っかる感情もよく伝わる。 |
J-POP | 僅かに中域が前に出るので、歌モノは聞き取りやすくたのしい。 |
EDM | リズム感と高揚感がしっかりと再生。バランスが良いので聴きやすい。 |
多数のアナログ盤を試聴してみましたが、集中的に試聴したレコードは次の8枚です。
※リンク付きは現在も取扱いのあるアナログ盤です。
【クラシック】
- Teodor Currentzis / Musicaeterna:Tchaikovsky Symphony No.6
- Bruno Walter / Columbia Symphony Orchestra:mozart symphonies nos.40 & 41 “jupiter”
- Bruno Helstroffer:Calling The Muse-old & New Pieces For Theorbo
【ジャズ】
- MELODY GARDOT:MY ONE AND ONLY THRILL
- Bill Evans:Memories Of Bill Evans
- Shelly Manne & His Men:More Swinging Sounds
【ロック】
- Eagles:Hotel California
- hide:Hi-Ho / GOOD BYE
ortofon 2M Blue ギャラリー(外観)
※本体は2M Redを使用しているため交換針の写真が主です。
【スタイラスチップ】(針先)
※Nude Elliptical(楕円無垢)
【ortofon 2M Blue stylus 開封】
【カバー付き】
【カバー外した状態】
【正面】
【後部】
【側面】
【真上から】
【演奏中】
「2M Blue」と「2M Red」を比較
オルトフォンの2Mシリーズにおいて「2M Blue(写真右)」と「2M Red(写真左)」はコスパや音質、音色の面から人気の高いカートリッジです。しかも両方の本体とスタイラス(交換針)には互換性があります。
本体が同じなので、どちらかを持っていれば“針を交換するだけ”で音の違いを楽しむことができるんです!
↓こんな感じ↓
↓
そんな姉妹ともいうべき「2M Red」との比較をじっくりと見ていきましょう。
2M Blueと2M Red スペックの違い
2M Blueと2M Redのスペック比較を一覧にまとめています。
オレンジの部分が数値上の違いです。
スペック比較 | ortofon 2M Blue | ortofon 2M Red |
出力電圧 | 5.5mV | 5.5mV |
周波数帯域 | 20Hz-25,000Hz | 20Hz-22,000Hz |
ダイアモンド針 | Nude Elliptical(楕円無垢) | Elliptical(接合式楕円) |
針先径 | 18×8μm | 18×8μm |
カンチレバー材 | アルミニウム | アルミニウム |
針圧範囲 | 1.6g~2.0g | 1.6g~2.0g |
適正針圧 | 1.8g | 1.8g |
自重 | 7.2g | 7.2g |
2M Blueと2M Red を聴き比べ
2M Blue(Stylus 2M Blue )を購入した際は、同じ本体なので大して変わらないかも…と心配していました。
しかし、実際に2M Blueと2M Redを聴き比べてみると「音質」「音色」ともに“大きく”といって良いくらい異なります。
聴いてみてよくわかるのは2M Blueと2M Redでは情報量が違う点です。
そして、情報量の違いが「音質」「音色」にも色濃く影響している印象を受けました。
2M Blueと2M Redの違いを音質面と音色面に分けて比較しながら、詳しく見ていきましょう。
2M Blueと2M Red 音質の違い
2M Blueは2M Redよりも…
- 解像度が高いので、細かい音のニュアンスや音像の表現力が各段にUPした印象。
- ダイナミックレンジが広く、音の強弱に余裕があり表情がより豊かになった。
- 音場が縦にも横にも広くなり、空間の再現力が大きく向上していた。
音質の総合力は2M Blueが大きくリードしています。
【音質比較表】
オルトフォン “2M Blue” |
オルトフォン “2M Red” |
|
高音 | ||
中音 | ||
低音 | ||
解像度 | ||
空間表現 | ||
アタック | ||
定位感 | ||
温かみ |
2M Blueと2M Red 音色の違い
2M Blueと2M Redを音域ごとに比較すると…
- 高音域:クリアで開放感のあるBlue。華やかさや煌びやかさはRed。
- 中音域:躍動感やアタック感のあるBlue。カラッと繊細に鳴るRed。
- 低音域:深く引き締まったコクのあるBlue。量感を抑え甘みを加えたRed。
クラシックでは、オーケストラならBlue、ヴァイオリンソナタならRedも好みでした。
ヴォーカルでは、渋みのあるハスキーなボーカルや艶やかな声はBlueが心地よく、シルキーな女性ヴォーカルなどはRedも良い感じです。
2M Blueと2M Redはどちらも評価の高いカートリッジですが、音色はけっこう違うのでぜひお試しください!
audio-technica VM540MLとの聴き比べ
私がメインで使用しているaudio-technicaのVM540ML(写真右)とも聴き比べてみました。
個人的に最近は色んなジャンルを聴くのでVM540MLがメインになっていますが、聴く音楽がクラシックやジャズに偏ってくると2M Blueに変更しています。
音質の違い
双方ともに高音質です。
違いの見えるポイントは次の3つ。細かい際は一覧表に記しています。
- 解像度:パッと聴いた感じほぼ同等。よくよく聴いてみるとVM540MLが若干細かいニュアンスまで表現できている。
- 音像:こちらもわずかにVM540MLの方が明瞭。解像度の影響が強いのかも。
- 音場:音場は2M Blueの方が広い。ホールいっぱいに広がる音を余すところなく再生。
オルトフォン “2M Blue” |
オーディオテクニカ “VM540ML” |
|
高音 | ||
中音 | ||
低音 | ||
解像度 | ||
空間表現 | ||
アタック | ||
定位感 | ||
温かみ |
音色の違い
2M BlueはVM540MLに比べて、抜けの良い解放感と明るさ、高い空間表現に特徴があります。
また、中音から高音にかけて艶やかさがあり、自然で深みのある低音が全体をまとめている印象です。
VM540MLはすべての音域で非常にバランスが良くフラット。
そのうえで、2M Blueよりも密度が高くパワーのある低音、全体を通したスピード感とアタック感があり、メリハリのあるハッキリした音を楽しめます。
どちらもオールジャンルで楽しむことができますが、「2M Blue」が特に上手いのはアコースティックな楽器やクラシックやジャズのライブ演奏。とってもワクワクさせてくれました。
性能に大きな差はないけど、特徴はけっこう違います。
クラシックやジャズが好きな方には“2M Blue” 、オールジャンルまんべんなく楽しむ方には“VM540ML”もおすすめです。
ortofon 2M Blueのコストパフォーマンス
2M Blueの魅力をまとめていくとコスパが良いカートリッジといえます。
コスパが良いポイントは次の通りです。
- 同じ価格帯のカートリッジと比較しても高い音質
- 2Mシリーズの2M Redとの互換性がある
- 他にはないデザインを楽しめる
2M Blueは、2Mシリーズでは2M Redの1つ上位クラスのカートリッジですが“音質的に2ランクは上”といったとこでしょうか。
そして、2Mシリーズで1つ上位機種にあたる2M Bronzeと比較すると、解像度などの音場、音像の表現力において確かに差異はあるものの大きな開きはなく、オルトフォン製品の中でもコスパの良さが際立っています。
また、今回のレビューで比較検証した“audio-technica VM540ML”は、価格帯としては2M Blueの上位機種にあたり音質面での評価がとても高い製品です。
しかし、2M BlueをVM540MLと比較しても、音質、音色ともに価格差を感じられないほどでした。
他にも同じ価格帯のカートリッジと比べても、バランスのとれたオールマイティーさや空間表現に長けており、音質に関するコストパフォーマンスはとても高いカートリッジといえます。
さらに、ortofon 2M Blueまたは2M Redのいずれかを持っていれば、スタイラス(交換針)を換えるだけでどちらの音も楽しめるというコスパの良さもあります。
デザイン面は好みもあるので一概には言えませんが、2Mシリーズの他のカートリッジとは大きく異なるスタイリッシュなデザインが気に入れば、コスパの良い買い物になりますね!(私は結構好きなんです)
ずいぶん前の話ですが、オーディオ店で2M Redを買う際に、店員さんに「2M Blueの方がコスパもよく満足度が高いはずですよ」とアドバイス頂いたんですが、その時はオルトフォンお試しということもあり、2M Redを購入しました。
いま思えば、あの時の店員さんのアドバイスは的確だったなぁ…、と思っています。
(とは言え2M Blueを先に買っても2M Redもほしくなっていたのは間違いなさそうなんですけどね…)
ortofon 2M Blue メリデメと口コミまとめ
ここからは2M Blueのメリット・デメリットとAmazon、楽天、価格.comなどに掲載される口コミのまとめをご紹介します。
オーディオ機器を選ぶ際に、製品の良いところも悪いところも理解して、客観的な意見を参考にするのは失敗しない選び方のひとつです。
2M Blueのメリット・デメリット
メリットやデメリットは使う人によって異なりますので、製品の性質からメリットやデメリットになりえるポイントをまとめています。
メリット | デメリット |
|
|
大手サイトの口コミをまとめてみた
つぎにAmazon、楽天、ヤフーショッピング、価格.comなどの口コミのまとめを見ていきましょう。
全体的に音質、音色を高く評価するものが多いようです。
【良い口コミ】
【残念な口コミ】
残念な口コミの「キャラクターの好みが分かれる」は重要。
この記事のレビューや良い口コミなどで紹介されている音質、音色のキャラクターが好みでなければ他のカートリッジもチェック!
ortofon 2M Blueのまとめ
今回は「ortofon 2M Blue」について紹介してきました。
楽しく音楽を聴くためには、自分が納得できるものを選ぶことが大切です。
納得できるものは人それぞれ違いますが「音」と「デザイン」はオーディオを選ぶ際にとても大事な要素となります。
そして、アナログカートリッジはその両方を大きく反映します。
レコードに刻まれたミュージシャンや音楽家の想いを大切に拾いあげてくれるアナログカートリッジはオーディオを楽しむ人にとって宝物です。
そして「ortofon 2M Blue」の、青く輝く宝石のようなデザインは、拾い集めた音の結晶のようにあなたのアナログ盤にキラリと輝くことでしょう。
音、デザイン、そしてコストパフォーマンスを兼ね備えた「ortofon 2M Blue」は、私のおすすめです。
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